小説

 何とも禍々しいタイトルの物語だが、決してエクソシストみたいな話ではない。
 サタンは出てこない。亡霊なんてもってのほか。

 純然たる恋愛小説である。

 そして、この禍々しいタイトルから予感される通り、 ...

小説

 これはミステリー小説ではない。

 自分が殺される日、サンティアゴ・ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝、五時半に起きた。

 読者は書き出しの一行目で、この物語ではサンティアゴ・ナサールなる人物が殺され ...

小説

 『愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える』である。
 なんというタイトルだろうか。

 この稀有な邦題に惹かれて手に取ったわけだが、書き出しはこうだ。

 トンプソンが殺すべき男はおかまだった。 ...

小説

 20代後半、私は酒ばかり飲んで過ごしていた。
 毎日自宅で限界までひとりで晩酌をし、意識がうつろになった未明にようやく睡眠し、翌朝、やや酒の残ったまま仕事に出かけていた。
 現在は週に数日だけ嗜む程度に改善されたが、 ...

小説, 文学

 

 愛とは何か。
 ここにひとつの答えがあるかもしれない。
 「20世紀文学最大の恋愛小説」と言われるグレアム・グリーンの長編『情事の終わり』である。

 主な登場人物は3人。
 ・ベン ...

小説, 駄目男への讃美

 駄目人間に強く惹かれるのだが、この小説の主人公もかなり駄目である。
 本作は2004年にドイツ最高の文学賞ビューヒナー賞を受賞のほか、数々の賞を獲得した作品である。

 毎日、何の役にも立たない空想をして過ごしてい ...

小説, 駄目男への讃美

 絲山秋子氏は、最も好きな作家のうちのひとりである。心のどこかがぶっ壊れてしまっている人物を書かせたら、この人の右に出る者はいない。そんな人物たちの触れ合いの微妙な距離感が、なんかいい。
 不器用というのとは違う、必然的な距離 ...