飄々図書室

【書評・読書感想文】本にまつわるあれやこれや

初心者ブロガーが『ドリルを売るには穴を売れ』から学べる2つのマーケティング思考

      2017/09/03

ドリルを売るには穴を売れ

 『ドリルを売るには穴を売れ』(佐藤義典・著、青春出版社)はマーケティング入門の良書にして定番である。

 この「ドリルを売るには穴を売れ」という奇妙なタイトルは『マーケティングの発想法』(セオドア・レビット著、1968年原著出版)の冒頭に紹介されている下記の言葉による。

 昨年、4分の1インチのドリルが100万個売れたが、これは100万人の人が4分の1インチのドリルを欲しがったからでなく、100万人の人が4分の1インチの穴を欲したからである。

 ――レオ・マックギブナの言葉

 「人はドリルが欲しいからドリルを買うのではない。穴が欲しいからドリルを買うのである」という極めてシンプルにして売る側としては忘れがちな教訓は、マーケティングの基本として語り継がれている。

 

マーケティングとは何か?

 マーケティングとは「どうすれば売れるか」を考える仕事である。人はスマートフォンが欲しいのではなく、スマートフォンによって得られる体験や便利さが欲しい。人はそのシャンプーが欲しいのではなく、それによって得られる効果が欲しいのである。私たちは往々にしてそれを忘れてしまいがちである。で、なぜ売れないんだ、おかしいなと首をかしげる。

 マーケティングを知ることによって、顧客目線に立つことができる。顧客目線に立つということは顧客は何が欲しいか、何を望んでいるかがわかるということであり、何が売れるかが自ずと導き出されるということである。

 これをブロガーやアフィリエイターで言い換えれば、検索する人が何を望んでいるか、訪問者が何が欲しいかがわかるということであり、検索上位表示を狙いやすく、検索結果でクリックされやすく、訪問者のコンバージョン(CV)率を上げることに繋がる。

 売り手が「これは売れる」と思っているものと買い手が「こういうのが欲しい」と思っているものは往々にしてすれ違っていることが多い。その齟齬をなくし、百発百中のヒットを打つための考え方に必要不可欠なものがマーケティング思考である。

 

ブロガー、アフィリエイターにもマーケティング思考は必要不可欠

 私が本書『ドリルを売るには穴を売れ』を手に取ったのは、多くのブログに「ブロガーにおすすめの本」として取り上げられていたことによる。つまりは、マーケティングは商品の売上向上や店舗の来客数増加のためだけでなく、ネット上におけるフログのアクセスアップ、収益向上のためにも極めて重要な考え方であるということである。

 私もインターネットから少なからず収益を得ている(他サイト。15万PV、収益10万円)人間として実感することは、ネット上でもリアル店舗でも基本的な考え方は同じであるということである。

 リアル店舗であれば、売れるための商品開発、勝てる地域への出店計画が要請されるが、それはブログやウェブサイトを収益化する際でも同じである。競合よりも詳しくわかりやすい記事を投入すればアクセスは必ず伸びるし、勝てるジャンル(競合の少ない)へ参入することで少ない労力で一人勝ちを収めることができる。これは私の実体験である。

 ただ、絶対はない。「勝てると思ったけど全然アクセスが伸びない」ということはよくあるし、「勝つつもりでやったわけじゃないのになぜか勝った」ということもある。ブログ運営を長くしている人なら「一週間かけて書いた記事が鳴かず飛ばずだったのに、寝る前にやっつけで10分で書いた記事が爆発的にアクセスを伸ばした」みたいな経験が必ずあるはずである。

 絶対はないけれど、勝率を上げることはできる。偶然や神頼みによってアクセスが伸びるのを待つのではなく、アクセスを増やすべき施策を狙って施すこと。何をすればアクセスや収益が増えるのかを見極める目を養うこと。それがマーケティングの力であり、「穴を売る」ことである。

 以下、私が『ドリルを売るには穴を売れ』で参考になった2点を簡単に挙げていこう。ブロガーやアフィリエイトをしている特に初心者には必ず参考になるであろう点である。

 

1. ターゲットは絞り込むべし

 ターゲットを絞り込むには勇気がいる。商圏に100人がいたら100人全てに向けた店舗を作り上げることが成功の秘訣であるように思える。だけど実際にはそういったお店は無個性になり、誰も見向きもしない。100人中の10人に向けたコンセプトで店舗運営をするのがより成功に近いのであり、その力量が発揮されるのがマーケティング思考である。

 特にインターネットという海の中にあっては山ほどの人が検索エンジンを利用しているわけだから、間口を広く採ったほうが何らかの検索キーワードに引っかかりやすいように思いがちだけれど、実際には全くそんなことはない。インターネット上だからこそターゲットは絞ったほうが良い。

 
理由1:主要なキーワードは業者などの強力な競合によって既に上位表示を独占されている。素人がそこに素足で入っていくのはほぼ不可能。であれば、競合の少なそうなニッチキーワードやテールワードを狙ったほうが効率的であり合理的である。

理由2:数え切れないほどの人が毎日インターネットで膨大な量のクエリで検索をしている。つまりは、絞り込まれたマイナーなキーワードでもそれなりの数が日々検索されているということである。マイナーとはいえ検索の絶対数はそれなりにあるはず。

理由3:ニッチなキーワードを検索する人というのは、悩みが深く、こだわりのある人である可能性が高い。悩みの深い人をターゲットにするのはアフィリエイトにおいては定石である(カモにするという意味ではないので誤解なきよう)。

 
 実例を挙げよう。
 私の運営する他のサイトでの話だけれど、サプリメントについての力作記事を書き上げたのだった。10,000字超、あらゆるサイトや文献を参考にして、正確で内容が濃くわかりやすい自信作だった。あまりに自信があったので私はターゲットを絞るのがもったいないと思い「ストレス、不安、不眠症、うつ、体調不良に効くサプリメント!」みたいなタイトルを付けたのだった。

 結果、全くアクセスが伸びなかった。びっくりするほどに伸びない。10,000字を超える有用な記事であるにも関わらずここまで誰にもアクセスされないのは私にとっては前代未聞であった。

 反面、当時は「誰がこんなサプリメントを検索するんだ」と思いながら書いたマイナーな某サプリの記事は爆発的に伸びた。同じく、ここまで絞っていいのだろうかと思いながら書いた「20代一人暮らし男性向けサプリ」の記事も順調にアクセス数、検索順位、収益が伸びていった。

 ここからわかることは言うまでもあるまい。ターゲットは絞ったほうがうまくいく。

 

2. 答えは全て現場に落ちている

 アフィリエイトというビジネスとリアル店舗の運営の最大の違いは、アフィリエイトは物量で勝負することが可能であるということである。リアル店舗においては店舗を拡大、生産を増加させるためには大きなコストがかかるので、大きなリスクになり得る。

 それに比べてアフィリエイトの場合、サイトを一つ増やすコストはたかが知れている上、自分で執筆すれば記事を量産するコストは自らの時間を犠牲にするだけで済むので圧倒的にコストが低い。行動力と集中力のある人であれば品質を気にしないでとにかく記事を書きまくるという戦術を採ってもリスクが低いのである。

 しかし、それはそれで疲れることであるし、労力が報われないのは空しい。

 マーケティングにおける重要な教訓は「答えは必ず現場にある」ということである。それは「現場に実際に来るお客さんが欲しているものを見極める」ということに他ならない。作りたいものを作るのではなく、必要とされているものを作ることで最小の労力で最大の効果を上げることができる。

 従って、闇雲に記事を乱発するというのも悪い戦略ではないけれど(行動力の低い私は「とりあえず何でもいいから記事を書きまくる」というのは見習うべき点でもある)、ちょっと立ち止まって現場を客観的に見渡してみて内部施策をするというのも大事な仕事のうちの一つである。

 サイトを運営してきて蓄積されたあらゆるデータとそのサイト自体がつまり「現場」である。データはお客さんの行動の痕跡である。お客さんがスーパーマーケットで商品Aではなく商品Bを買うのにも必ず理由があるように、「検索エンジンに表示されているのにクリックされない」「コンバージョン率があからさまに低い」というのには必ず理由がある。そしてその理由は必ず現場に落ちている。

 膨大な量のデータを分析したり、それまで書いてきた記事を見直すというのは面倒ではあるけれど、面倒なことというのはおおよそ重要なことである。具体的には下記に示しておく。

 
1. 記事別アクセス数に目を通す。アクセスが伸びている記事は勝てるジャンルである可能性があるので関連記事を書きまくって、内部リンクを貼りまくる。

2. Google Search Consoleで検索クエリを分析する。記事タイトルに入っていないクエリで上位に表示されている記事については、そのクエリは「お宝キーワード」である可能性が高い。すなわち、ニーズがあるのに誰も詳しく書いていないテーマである。記事タイトルをそのクエリに寄せて修正した上で関連記事を書きまくると一人勝ちできる可能性が高い。

3. キーワードツールでタイトルを最適化する。ニッチすぎて検索されないタイトルであればもう少し検索数の多いキーワードを用いる。逆に競合が多すぎる場合にはニッチ方向にずらす。タイトルに有用なキーワードが含まれていない場合には明確なキーワードを入れる。

4. Google Analyticsできちんとデータを分析する(私は全然使いこなせていない…)

5. とにかく関連記事・内部リンクを貼りまくって回遊率を上げる。地味だけど意外と重要。直帰率の低下はサイトの評価を高めると言われているし、なにしろ広告をクリックしてもらうチャンスが増える。

 

まとめ:買わせる人になるためのマーケティング

 「そう言えば最近野菜不足だなあ……」と思ったあなたは、まず何をするだろうか? 多分、コンビニかスーパーで野菜ジュースを買うか、ビタミンなどのサプリメントを買うのではないだろうか? そう考えたあなたは、すでにマーケティングに影響を受けている。
 なぜなら、「野菜不足」に対する論理的・直接的な解決策は、「野菜を食べること」なので、八百屋かスーパーの野菜コーナーに行くはずだ。

 (P12)

 『ドリルを売るには穴を売れ』の冒頭に書かれた文章である。私はこれに「なるほど」と妙に納得してしまった。マーケティングについてこれほどわかりやすく説得力を持った説明はないのではないか。

 本書はブロガーやアフィリエイターを対象に書かれたものではないけれど、マーケティングというものが気になる全ての人に向けてわかりやすく書かれた入門書である。マーケティングというフィルターを通すことによって、読む前と読んだ後では見える世界が違ってくるはずだ。

 
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