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2chやはてな匿名ダイアリーを自分の未来に活用するためのたったひとつの方法

   

tokumei

 
「幸せ」というやつの基準は人それぞれで曖昧なものだから、ここでは「幸せ=自分の未来を予測できること」とひとまず定義しよう。

 
・希望に溢れて転職したが、すぐに辞めたくなってしまった

・「この人しかいない」と結婚したが、やがて伴侶を嫌いになってしまった

・腹がものすごく減っていたので大盛りを頼んだが、食べきれなかった

 
これらは未来を予測できていれば避けることができたかもしれない不幸である。私たちは往々にして自分の未来を見誤る。その理由は、私たちの主観や想像が往々にして間違っているからである。だから、その主観に続く未来を正しく予測できない。

本稿においては『明日の幸せを科学する』(ダニエル・ギルバート、ハヤカワNF文庫)を参考文献にし、「人はなぜ自分の過去・現在・未来を間違って認識してしまうのか」ということを示した上で「未来を正しく予測するためのたったひとつの方法は他人の意見を参考にすること」であることを提示し、それが「2chやはてな匿名ダイアリーを自分の未来に活用するためのたったひとつの方法」となることを結論とする。

 

人はなぜ自分の過去・現在・未来を間違って認識してしまうのか

人は自分の過去を改竄している

過去とは記憶のことである。記憶だけが唯一自分の過去を現すものであり、記憶は嘘をつかないと誰もが思っている。しかし、同時に記憶は曖昧であることも私たちは知っている。記憶は時間と共に消失していくし、記憶違いは誰にでもあることだ。しかし、記憶は自分が生きてきた証であり、誇りであり、経験の集大成であるので、なかなかそれを認めることができない。

「凄く好きだった恋人にひどい振られ方をした」という場合、私たちは往々にして「ひどい恋愛だった」と唾棄しがちである。だけど、本当にそうだろうか? 恋愛中に感じていた幸福感はどこに行った? それをなかったことにしてして、最後の瞬間だけに気を取られて「その恋愛の全てが最悪だった」と決めつけてしまうのは、人が過去を正しく評価できていないことの証左ではあるまいか。

 

人は自分の現在でさえも見誤っている

私たちは今を生きている。今現在だけが正義である。「今だけに照準を合わせれば幸福に生きることができる」というのはある意味では正しい。しかし、自分の今現在の感情には何らかの強いバイアスがかかっているのも事実である。

例えば「過去の苦い経験に気を取られて必要以上に臆病になってしまう」ということが誰にでもあるけれど、それは自分の今を正しく評価できていないことと同じである。その過去の出来事がなければ臆病にならずに一歩踏み出して、自らの定義する幸福に一歩近づけたかもしれないからである。

 
あるいは、冒頭で述べた「腹がものすごく減っていたので大盛りを頼んだが、食べきれなかった」というのも今の感情を過大評価しすぎて未来を見誤った例である。人はこの誤りを基本的に何度も繰り返す。

私も腹を空かせてラーメン屋に入る度に「ラーメン+半チャーハン+餃子」を注文して意気揚々として割り箸を振りかざすけれど、殆どの場合、食べ終わる頃には満腹の域を超えており「ラーメンだけにしておけばよかった」と思うことになっている。

 

人は自分の未来を正しく予測できない

というわけで、人は過去を改竄しているし、今現在のことも曖昧にしか認識できていない。そんな(私を含めた)者が未来を正しく予測できるだろうか。「今、確固たる意志を持って◯◯と思っている。ということは、この決断は成功するに違いない。もうバラ色の未来しか見えない」という決断は往々にして失敗する。

その前提としての過去と現在に対する認識が間違っているから、未来なんて正しく予測できるわけがないのだ。

 

未来を正しく予測するためのたったひとつの方法は他人の意見を参考にすること

この「未来なんて正しく予測できるわけがない」問題に対する『明日の幸せを科学する』の対策は単純明快である。自分の主観が間違っているなら、主観を排すればいい。つまり、

「自分と関係ない立場にいる第三者の意見を参考にする」

ということである。

 
独りよがりな決断の末に失敗し、「だからやめておけって言ったじゃん」と言われることがある。それはつまり「だからやめておけって言ったじゃん」と警鐘を鳴らしてくれていた者のほうが未来を正しく予測できていたということ。

もちろん、未来を完璧に予測することは不可能である。だけど、「自分ひとりの想像で未来を思い浮かべる」よりは「自分と関係ない立場にいる第三者の意見を参考にする」ほうが未来を正しく予測できる可能性が高い、ということをここでは言っている。これは机上の空論ではなく、心理学の実験によって明らかになっている。詳しくは本書を参照にして欲しい。

 

2chやはてな匿名ダイアリーを自分の未来に活用するためのたったひとつの方法

友人や親しい者がいるなら、彼らに相談して意見を参考にすることが大いに有用である。だけど、誰もに相談できる友人や恋人、両親がいるとは限らないし、親しい者に相談できないような問題もある。

 
もうおわかりだろう。そういう場合には「2chやはてな匿名ダイアリーで相談することが有用となる」のである。必ずしも2chやはてな匿名ダイアリーじゃなくてもいい。匿名で誰かとやり取りできるウェブサービスやアプリケーションがあるならそれでもいい。

この匿名の素晴らしい点は「相手が利害関係にない完全なる第三者」であることである。例えば「起業したい」と友人に相談すれば、気持ちを後押しするつもりで「応援するよ(えーうまくいかないと思うけど)」と返ってくる可能性が高いかもしれないけれど、匿名サイトにおいては全く利害関係にないのでざっくばらんに「それ無理じゃね? 事業計画に無理があるし、もう少しキャッシュが必要。半年後には潰れるよ」くらいのことは言ってくれるかもしれない。

 
「匿名サイトは民度が低くて罵詈雑言の嵐」みたいなことが言われることがあるが、私の実感としてはそうは思わない。意外と親切である。少なくとも、私がかつて絶望していた時に「生まれてこなければ良かった」みたいなことを何の気なしに書いたところ「それ、甘えすぎじゃね?」と誰かが返信してくれるくらいには親切である。

 
ちなみに、『明日の幸せを科学する』の著者ダニエル・ギルバートのTEDは大変におもしろくて参考になるので是非とも見て欲しい。

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