飄々図書室

【書評・読書感想文】本にまつわるあれやこれや

ゾンビの襲撃から生き延びるための5冊の本

      2018/10/05

zombie

 
「人生何が起こるかわからない」というのは、いつゾンビに襲撃されてもおかしくないという意味である。「一寸先は闇」というのは夜道を歩いていてゾンビに遭遇しないとも限らないということである。

そして「転ばぬ先の杖」とは、ゾンビの襲撃に今すぐ備えよという警鐘である。我々には本がある。読むだけでゾンビに対抗できる5冊の本を紹介しよう。

1. ゾンビサバイバルガイド

これ一冊あれば殆どの事態には対処できるだろう。単なる机上の空論的なハウツーではなく、硬派で真面目なゾンビ対処法がここにある。エンタメ系の読み物としても超一級。

例えば、あなたは「ゾンビと戦うための適切な武器」を知っているだろうか? どのような戦術を用いて戦うのが最善か知っているだろうか? ゾンビの行動パターンは? 絶対に生き延びるための逃げ方は?

未知の脅威に対しては暗中模索で対処するしかない。どの方策が効果的かわからないから無闇矢鱈に行動に出るしかないのだ。しかし、もう迷うことはない。私たちには『ゾンビサバイバルガイド』がついている。答えは全てこの中にある。

いつ来るかわからないゾンビの襲撃で生存率を高めるためにも、一家に二冊、普段の啓蒙用と防災バッグの中に入れておく用を備えておくことが肝要だ。

 

2. ゾンビの作法 もしもゾンビになったら

ゾンビに抵抗するだけが対処法ではない。ゾンビは伝染するのであり「もしも自分がゾンビになってしまったら」というところまで考慮に入れてこその備えであると言えよう。その唯一の指南書となるのが『ゾンビの作法 もしもゾンビになったら』だ。

万が一ゾンビになってしまったとしたら、その時は一般市民を敵に回してでも生き延びなくてはならない。しかし私たちはゾンビとして生きる上での知識を現時点では何も持ち合わせていないという大問題が立ちはだかる。もし明日ゾンビになったらどのように生きてけばいいのか想像もつかない。

あなたは人間の襲い方を知っているだろうか? 脳味噌の喰い方は? ゾンビ仲間の増やし方は?

ゾンビに襲われるというシチュエーションは想像できるかもしれないが、自分がゾンビになるかもしれないことは想像もつかない。人生何が起こるかわからない。毒虫になったグレゴール・ザムザは死んだ。ゾンビになるかもしれない私たちは死なないようにきちんと備えておくべきだ。

 

3. ゾンビ学

敵を知り己を知れば百戦殆うからず。役に立つことも立たないことも含めて敵を知らなければならない。まだ現実世界に人間のゾンビは確認されていない。従って、私たちは宗教、映画、文学、漫画、アニメ、ゲーム、音楽などを資料にして敵を知ることを余儀なくされる。

『ゾンビ学』は真面目なサブカルチャー研究書である。400以上の膨大なコンテンツを元にゾンビを徹底的に研究し尽くしている。「みんなの意見」は案外正しい、という観点に基づけば、「みんなの意見」の集合であると思われるサブカルの研究にもそれなりの意味があると思うし、そこに提示されるのは「誰も見たことのない」ゾンビの「案外正しい」実像であろう。

役に立たないものの中に本質は潜んでいる。敵を知るための情報の海へ旅立とう。

 

4. ゾンビでわかる神経科学

私たちは脳である。であるとすれば、私たちが変容した姿であるゾンビの本質も脳であると言えるかもしれない。敵を知るための高度な専門知識を得たいなら『ゾンビでわかる神経科学』が推奨される。

本書はアメリカの神経科学者が二人がかりでゾンビの脳を解剖し、徹底的に病名を診断していくという破天荒な内容となっている。破天荒とは言え、脳の仕組みがしっかりと科学的に説明されているのでゾンビを学びながら、脳についても学ぶことができる。

ゾンビも脳によって突き動かされている。ということは、遭遇したゾンビの行動パターンを推測し、読み解く上でゾンビを神経科学的見地で捉えることは有用だろう。

ジェネラリストの時代は終わりつつあり、これからはスペシャリストの時代であると言われる。本書はまさにスペシャリストのための一冊だ。

 

5. ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える

まさかの「ソンビ meets 国際政治理論」という奇書。国際政治学の権威が「ゾンビが発生したら世界はどうなるのか」を大真面目に論考した書籍。

「ゾンビが発生したらどう生き延びればいいのか」を想像することはあったとしても「ゾンビが発生したら国際関係はどうなるのか、国軍は、各国政府はどのように対応するのか」というマクロ視点でそのパニックを捉えることはなかなかないだろう。そういう意味でも新しい視点を提示してくれる稀有な本。

ゾンビ本でありながら内容は国際政治学の教科書としても使えるほどの濃密さ。もし実際にゾンビが発生したら私たちの世界はどうなってしまうのか? 本書の答えは「悲観することはない」と提示されている。よかった。

 - やんごとなきハウツー本