アニメの続きの話|『ココロコネクト ニセランダム』庵田定夏

ココロコネクト ニセランダム (ファミ通文庫)

アニメ『ココロコネクト』(2013年, 監督:川面真也)はとても良かった。なんやかんやアニメ本編とは関係ないところで騒動があったらしいけれど、そんなことはどうでもいい。とにかく良かった。あまりにも良かったので、続きの原作本を買って読んだくらいである。

本稿は『ココロコネクト』のアニメは見たけど原作はどうなん?という人を対象に書かれている。ネタバレなしで、原作はどういう雰囲気なのかということを中心に書いていく。

原作本の刊行順とアニメ話数の対応

『ココロコネクト』原作は全11巻(本編8巻、短編集3巻)がファミ通文庫より刊行されている。ナンバリングがされていない(大人の事情によるものと原作者があとがきで書いている)のでここで整理しておく。

 
1. ココロコネクト ヒトランダム(アニメ1〜5話)
2. ココロコネクト キズランダム(アニメ6〜10話)
3. ココロコネクト カコランダム(アニメ11〜13話)
4. ココロコネクト ミチランダム(アニメ14〜17話(OVA))
5. ココロコネクト クリップタイム(短編集1)
6. ココロコネクト ニセランダム(この記事)
7. ココロコネクト ユメランダム
8. ココロコネクト ステップタイム(短編集2)
9. ココロコネクト アスランダム 上
10. ココロコネクト アスランダム 下(本編完結)
11. ココロコネクト プレシャスタイム(短編集3)

 
アニメ化は原作第4巻までがなされており、それ以降については現状(2019年)で予定はない。おそらく今後もないものと思われるので、続きのストーリーを知るには原作を読む他ないのが現状である。

 

『ココロコネクト』の凄み

『ココロコネクト』ストーリーの骨子は、高校の文化研究部のメンバー5人(女3、男2)が「人格入れ替わり」「欲望開放」「時間退行」などの異常現象に見舞われながら、自分たちの過去・現在・未来やメンバーの関係性と向き合っていくというものである。

この異常現象というアイデア、言ってしまえばありきたりで陳腐化されているものである。似たようは話はこれまでも山ほどあった。従って、ストリーテラーたる原作者にとっては物語の展開と結論についてありきたりでないものを提示しなければならない非常に難しい仕事となる。

で、『ココロコネクト』はこれに成功している。ストーリーは飽きさせずに意外な方向へ飛んでいくし、成長物語としての結末も腑に落ちるものとなっている。原作者はこれがデビュー作らしいが、とんでもない才能の持ち主だなと思った。何が何でもありきたりなものにしないぞという執念さえ感じる。稲葉というキャラクターはちょっとした発明だと思う。

人物造形と心理についてもリアルだなと思った。原作者は社会性に富む人物であるに違いない。

 

で、原作はどうなの? アニメの続きニセランダムについて

『ココロコネクト ニセランダム』は文化研究部に2人の新入部員を迎えての話であり、アニメ17話からの続きである。「幻想投影」という異常現象に立ち向かっていくことになる。「偽物が現れる」という現象だ。この「幻想投影」はこれまでになく突拍子もない現象であり、文中でも説明に腐心している様子が見られた。

『ココロコネクト』の原作を読むのはこれが初めてなのだが、冒頭から多くの登場人物がいきなり会話劇を繰り広げており誰が誰だかわからなく読み進めるのに少し苦労した。巻頭に登場人物一覧もない。ただ、すぐに慣れた。通読してみれば読みづらいという印象は残らなかった。

小説の醍醐味は登場人物の心理描写である。この『ニセランダム』は新入部員の千尋という人物視点で描かれていて、彼が悩んだり絶望したり、自分を変えようと一歩踏み出したりする。心理描写については私見ではやや過剰かなと思った。ただ、これは好みにもよるので何とも言えない。独白が多いから辟易したということもない。ただ、アニメ版くらいのバランスがちょうど良かったかなと思った。

肝心のストーリーは練りに練られていると感じた。起承転結に準じている。飽きさせないように中盤あたりで大きな展開を持ってきて、結末へと収斂していく。アニメを楽しめた人なら続刊の原作も楽しめると思われる。少なくとも私はおもしろく読んだ。

 

おわりに

本巻『ココロコネクト ニセランダム』は千尋という新入部員が文化研究部既存メンバーの5人を外から眺めるような構造になっているので、その5人の物語自体に大きな展開があるわけではない。前巻から次巻への架け橋的なものであると言えよう。

いろいろと書いてきたけれど、総評としては決して悪くない。青春物語としてとてもよくできている。金字塔と言ってもいいかもしれない。アニメが気に入ったなら読んでも損はないのでおすすめである。

 
関連書籍:

▼「思春期症候群」という謎現象が登場する大人気『青春ブタ野郎』シリーズ。心理描写はあっさり目でストーリーがどんどん進んでいく秀作。