飄々図書室

【書評・読書感想文】本にまつわるあれやこれや

愛の値段が133ドル55セントであると判明した件

   

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 愛はお金では買えない。

 確かに愛をお金で買ったという人はいないかもしれないけれど、それは「愛はプライスレスだから」とか「愛に値段は付けられないから」という理由ではない。
 つまりこの度、香港大学ボボ・ラウ教授の研究チームの実験によって愛の値段が判明したのだった。

 結論から言うと、愛の値段は133ドル55セントである。

 愛って、もちろんラブのことであり、LOVEのことであり、アモーレのことである。
 何かの比喩だとか固有名詞ではないことを予め断っておく。

 

実験内容

香港大学ボボ・ラウ教授の研究チームの実験

 心理学の実験であり、感情をお金に置き換える試みであった。
 被験者には次のような質問がされ、回答が求められる。

 「あなたがこれまでの人生でこの上なく幸せだった特定の時を思い出してください。その時の気分をもう一度味わうために、2ドルから200ドルの間で、いくら払ってもいいと思いますか」(以下、同じパターン)
 「静かで穏やかな気分だった時を思い出してください…」
 「熱狂的な興奮を味わった時を思い出してください…」
 次にネガティブな気分について尋ねる。
 「あなたが強く後悔している具体的な出来事を思い出してください。もう一度あんな気持ちを味わうことを避けるためなら、いくら払いますか?」
 (略)

 で、以下が被験者が払ってもいいと回答した平均金額である。

 静かで穏やかな気分 44ドル30セント
 興奮 62ドル80セント
 幸福感 79ドル6セント
 恐怖心を避ける 83ドル27セント
 悲しみを避ける 92ドル80セント
 恥ずかしさを避ける 99ドル81セント
 後悔を避ける 106ドル26セント

 「幸福感をもう一度味わう」というような事象よりも、「悲しみを避ける」というようなネガティブを回避する事象により多くのお金が支払われつつあることにお気づきだろうか。
 人は、「ポジティブを得る」ことよりも「ネガティブを避ける」ほうに価値を見出していることがここから伺える。

 さて、上記では「後悔を避ける」が最も高い値段を付けているが、実はそれよりも高い値段が付いたものがあった。

 後悔を避けることより高い値段がついたものはただひとつで、それは「愛情」を取り戻すことだった。幸福感も情熱も穏やかな気分もいいものだが、社会的動物である私たちは、自分を受け入れて、価値を認め、本当の自分を好いてくれる誰かを求める。

 愛情を取り戻すためならいくら支払ってもいいと思うか。
 それこそが愛の値段であるというわけである。

 結論は以下である。

 愛の値段は113ドル55セントだった。

 

同じ実験のイギリスでの結果

 ちなみに、上記実験結果は香港におけるものであるが、同じ実験をイギリスにて行ったところ結果は似通ったものだった。

 穏やかな気分 53ドル47セント
 興奮 60ドル90セント
 恥ずかしさを避ける 71ドル83セント
 後悔を避ける 64ドル40セント
 愛情を取り戻す 115ドル16セント

 最も高い値段が付いているのが「愛情を取り戻す」であり、金額も香港で行われたものと殆ど変わりないのである。

 

日本円で愛の値段はいくらか

 今これを書いている2016年11月3日午前9時時点の為替レートは「1ドル=103円37銭」である。
 それを基準に算出してみると「愛情を取り戻す」ために支払ってもいい日本円での金額は「11,737円(香港での結果)〜11,904円(イギリスでの結果)」となる。
 だいたい11,800円程度と考えて差し支えないだろう。

 結論:
 愛の値段は11,800円である。

 

まとめ

 愛の値段は明らかになった。
 一万円とちょっとである。
 ずいぶん安いな。

 だけど、愛とやらは依然として11,800円を払えば買えるというものではないし、未だにどの店頭にも並んでいない。
 あのAmazonでも売られていない。なぜだ。

 ただ、「愛はプライスレス」である時代は終わった。
 愛は113ドル55セントであり、11,800円である。

 愛とやらを巡る主戦場は心理学から経済学へと移りつつあるだろうと私は考えている。
 従って、これから求められるのは「モテるための心理術」ではなく、「愛をコストダウンして大量生産、流通させる技術」であり、「愛を安く買うテクニック」であり、「愛をコスパで選ぶ方法」であろう。

 我々がすべきことはたった一つ。
 財布に11,800円程度を入れておくことである。

 
▼参考文献&文中引用:

 - コラム